みなさん、こんにちは!トラ・レポ(トランジションセンターReporter)の禰占です。
「裁判でお金を取り戻すってどういうこと?勝訴で十分?」の講座を受講しましたので、レ
ポートさせていただきます。講師は、桐蔭横浜大学法学部教授 副学長の河合幹雄先生です。
本講座では一般的な裁判に対するイメージと実際の司法がどれほどずれているのかを理解するために、裁判でお金を返してもらうということはどういうことなのか?についての解説がなされています。
金銭をめぐるトラブルは個人間、企業間を問わず、頻繁に起こり得ることです。もしあなたの友人が貸したお金(大金!)をどうしても返してくれない、話し合いにも応じてくれないとすれば、あなたはどのような手段で解決しようとするでしょうか?力ずくで奪い返しますか?相手の財布からお金を勝手に抜き取りますか?気持ちはわかりますが、それらの手段は、いくらあなたが大金を貸していたといえども、法律では認められていません。したがって実際にはなんらかの法的手段を用いて(民事裁判で訴える等)、お金を返してもらうことになります。しかし残念ながら裁判で訴えたからといってすべてのトラブルが解決に至るとは限らないのです。なぜなら裁判に至るまで揉めている金銭トラブルというのは、相手側の支払い能力に問題があることが多いからです。
それでは黙って泣き寝入りすればよいのか?というと、そんなことはありません。実際には相手の支払い能力を鑑みて、どれほどまでなら相手が支払ってくれるか、という和解交渉に至るケースが多いようです。
民事裁判の結果をみてみると、勝訴などの判決がでるものは、民事裁判の結果の約 3 分の1で、残りは、和解が約 3 分の 1、訴えの取り下げが約 3 分の 1 となっています。取り下げというと相手がお金を支払ってくれ、円満に解決したのかな?と想像してしまいますが、実際には訴える側が訴えをあきらめて取り下げるというケースが多いそうです。辛いですね・・・。
一方勝訴の判決が出たとしても、お金が返ってくるとは限りません。裁判に勝つことと、
相手が支払うことは別問題なのです。実際に勝訴判決が出たとしても判決通りに支払って
くれないケースが存在します。もし相手側に収入や資産があればそれらを差し押さえる手
続きをとることは可能ですが、十分な金銭の回収に至らないケースもあります。
勝訴してもお金が返ってこないのであれば、裁判をやる意味はないのでは?と思われる方もいるかもしれません。しかしたとえば企業等は裁判で勝訴判決が出ると、被告からの支払いが予想される金額を会計簿に記載します。そうすればもし被告から支払いがなされない場合であっても、その額を損金として処理することができ、結果節税が可能になるのです。
つまり被告からはお金はとれませんが、税金は返ってくるのです。それを意図して行われる
裁判もあるそうです。
私が想像している以上に民事裁判でお金をとる、返してもらうことは難しいのだなと実
感した講義でした。法律・裁判というと難しいイメージがあるかもしれませんがこのように
身近なトラブルから法律をみていくと、よりリアルな法律の世界が理解できるのではない
でしょうか?
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